「源氏物語」あらすじ

 54帖からなる長編の『源氏物語』は、3部に分けて考えられます。第1部は、1帖「桐壺」から33帖「藤裏葉」までで、主人公の光源氏の誕生から39歳までの栄華と恋愛の話です。

 桐壺帝のもとに入内した桐壺更衣は、その美しさから帝から大変愛され、周囲の嫉妬に耐え切れず体調を崩している中「玉の男御子」の光源氏を出産します。その後、更衣は亡くなりますが、光源氏は大変美しく、学問や音楽にも超人的な才能を持つ男子でした。桐壺帝は、人相見に「帝王の相」がありつつも世が乱れるといわれたことで、この男子を新王にはせず、臣下として源氏名を与えます。
 光源氏は実母、更衣によく似た義母の藤壺に思慕の思いを抱くようになります。叶わない思いを抱きながらも、光源氏は12歳で左大臣の娘、「葵の上」と結婚をします。その後、人妻である「空蝉」や、人違いして関係を結んだ「空蝉」の義理の娘「軒端荻」、お互い素性も知らないで関係をもったのちに死んでしまった「夕顔」、貧しく容姿も優れない「末摘花」、好色な老女「源典侍」、異母兄弟の元へ入内する予定があった美しい「朧月夜」など、次々と女性と関係を持ち青春を謳歌します。
 思いを寄せていた義母の藤壺にそっくりな姪、可憐な少女「紫の上」を引き取り、教育を受けさせ自分の理想の女性に育て、成人すると関係を持ちます。義母「藤壺」との間にも関係ができると、「藤壺」は光源氏の子供を懐妊します。紅葉賀の帖では、光源氏は青海波を舞い、恐ろしいほど美しいといわれます。「藤壺」は、光源氏の子供を桐壺帝の子として産みます。その不義の子は、後の冷泉帝です。

「藤壺」は、光源氏の猛烈なアプローチと、不義の子を産んだ秘密に悩み、桐壺院が亡くなると出家します。光源氏は、順調に出世しました。光源氏への思いが強かった「六条御息所」は嫉妬から、生霊となり「葵の上」を取り殺します。
 桐壺院のあとを継いだ朱雀帝に入内が決まっていた「朧月夜」との密会を重ねていたことが明るみに出ると、流刑の罪を恐れて自ら須磨へと退去しました。須磨では約3年、侘しく暮らした後、桐壺更衣の縁続きである明石の入道の娘、「明石の君」と結婚しました。朱雀帝が患い、譲位に際して光源氏は京へ戻り、新帝冷泉帝の後見人になり右大臣になりました。京へ戻った光源氏は、かつて関係を持った「末摘花」の悲惨な状況を哀れみ庇護のもとにおきます。光源氏は、六条院と名付けた大邸宅を建てます。「紫の上」、「末摘花」、「明石の君」も住むようになります。次々に現れる女性に、「紫の上」は嫉妬心を持ちます。冷泉帝は兄だと思っていた光源氏が実父であることを知ります。
 光源氏は昔関係のあった「夕顔」の遺児「玉鬘」を引き取ります。美しい「玉鬘」は、髭黒の大将や、柏木などからも恋文を受けますが、光源氏も思いを寄せていきます。「玉鬘」は、数多いた求婚者の中から一番気の進まない髭黒と結婚しますが、気持ちは光源氏にありました。実子である冷泉帝が即位し政治的にも強い権力を持ち、六条院には妻や子供を持つ、これまでが光源氏の栄華が極まっている時期でした。

第2部は、34帖「若菜・上」から41帖「雲隠」までです。権力も、家庭もすべてを手に入れた光源氏の人生も陰りを見せます。

 光源氏が、異母兄弟であった朱雀院の娘である「女三の宮」と結婚したことを機に「紫の上」は発病します。それは「女三の宮」への気遣いのせい、そして過去の女性「六条御息女」が再び死霊として現れたせいでした。その裏で「女三の宮」は、「柏木」と密通し懐妊します。光源氏も、かつて義母藤壺との間に、冷泉帝を設け不義の子供をつくった因果応報を思いながら、「柏木」と「女三の宮」の間にできた不義の子「薫」を自分の子供として育てることになりました。「柏木」は、光源氏に事実を知られた恐ろしさで病死、「女三の宮」は「薫」を光源氏に残し出家します。その間も、「紫の上」の病状は悪化、出家を願いでますが、光源氏はそれを許しませんでした。「紫の上」は心もとない不安を胸にしたまま亡くなりました。「紫の上」の死去に悲嘆した光源氏は出家を考えます。「紫の上」の一周忌の後、光源氏も亡くなります。

第3部では、光源氏の死後、物語の中心は息子「薫」の話へ移ります。42帖「匂宮」から54帖「夢浮橋」までです。
 
 薫は、生まれながら体から良い匂いが香り立つ、気品を備えた若者に育ちました。光源氏の子として周囲に大切に育てられたにも関わらず、どこか憂いを帯びた世俗から離れた人でした。「明石の姫君」と、帝の間に生まれた匂宮と競うように育ちました。匂宮は、自分の着物に香を焚き締め良い匂いがする若者でした。

薫は柏木の乳母の娘(弁の君)から自分の出生の秘密を知らされます。そして宇治に隠遁していた「八の宮」の姉妹の姉「大の君」に恋するようになります。しかし、「大の君」との結婚は拒否され「大の君」は亡くなります。匂宮が妹「中の君」と住むようになると、「中の君」に思いを寄せるようになりました。
 薫と匂宮の間で困った「中の君」が紹介したのは、異母姉妹の「浮舟」です。「浮舟」は、八の宮が侍女に産ませた娘でした。

「浮舟」は薫と匂宮、両方から思いを寄せられ、翻弄された末に、宇治川に身を投げてしまいます。しかし、「浮舟」は比叡山の高僧によって命を助けられていました。「浮舟」は出家します。薫は「浮舟」に文を出しますが、会えることはありませんでした。

『源氏物語』は、光源氏の出生からその息子の薫への物語へと、70年もの長い歳月を描き、幕を降ろします。

<主な参考文献リスト>
紫式部.『源氏物語』.瀬戸内寂聴訳.講談社,2007.
紫式部.『源氏物語』.与謝野晶子訳,青空文庫,1971.
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