工房創設の発端について

ふきのとう

昨年の今頃は、Youtubeのチャンネルを使って必死に自分を売る宣伝をしていました。結局、作品ではなく画家本人を曝していく度量もなかったし、元々、自分の気質とは正反対の行為だったので中途半端で終わりました。

でも、昔、もっと恥ずかしいことをしていたことがあります。ホームページの冒頭に山上憶良のこんな万葉歌を載せていたのです。

をのこやも 空しかるべき 万代に 語り継ぐべき 名は立てずして

もちろん、自分が後世に名を残すような画家とは思っていませんでしたが、冗談にしても、こんなことを言っていた分けです。

そんな中、無名のアマチュア詩人を主人公とした映画「パタースン」で、エミリー・ディキンソンを知り、彼女の詩にこれを見つけました。

I’m Nobody! Who are you?
Are you — Nobody — Too?
Then there’s a pair of us?
Don’t tell! they’d advertise — you know!
How dreary — to be — Somebody!
How public — like a Frog —
To tell one’s name — the livelong June —
To an admiring Bog!

訳詞は様々な方がなさっていますが、原詩と違って著作権がありますので、Google翻訳を紹介します。

(私は何者でもない!あなたは誰?
あなたも何者でもないの?
じゃあ、私たちは二人組?
内緒だよ!宣伝するから!
何て退屈な、何者でもない人間!
何て人前で、まるでカエルみたいに
自分の名前を言うなんて、6月中ずっと
感嘆する沼に!)

この I’m Nobody! に自分本来の場所を見つけた思いでした。

そう、見てもらいたいものは作品であり、作者ではない、絵によって暮らしが立つなら、自分はひっそりと隠れていたい。

そこで、ペンネームでは他の誰かになるだけで不十分と感じ、自分の隠れ蓑として考えたのがデジタル工房「桂」でした。

それで、デジタル工房「桂」は屋号なのか、ネットショップの店名か、ホームページのサイト名か分かりにくい曖昧なポジション、姿をしているのです。